理事長・院長メッセージ
医療法人圭良会 永生病院
理事長・院長
 森 伊津子

  世界に先だって超高齢化社会に突入した日本は、毎年徐々に人口減少が進んでいます。50年後には総人口が9000万人を割ると予想されていますが、総人口に占める高齢者の割合は依然と高く、2040年頃高齢者人口(65歳以上)はピークとなり、3920万人との予想です。
 2000年に介護保険制度開始により、高齢者医療はかなり変化してきました。医療保険下での治療、介護保険下での長期療養・長期リハビリ・生活支援など受けられるようになり、医療・介護の融合のもとその人らしい生活が送られるよう社会保障制度も進んできました。
 しかし、世界に冠たる長寿国ではあっても、健康寿命(自立して元気に過ごせる期間)と平均寿命との間にかなり差があり、男性では8.84歳、女性では12.35歳と長く、要介護状態の期間をいかに短縮させるかが問われています。「健康日本21」で生活習慣病対策が広まりつつありますが、まだ結果がでるところまではいっていません。一方で人口減少が進み、労働人口減少も予想されます。働き方改革でワーク・ライフ・バランスはさらに拡大し、多様な働き方が可能になっています。このような社会状況下において、今後、より効率の良い医療・介護提供体制が求められてくるものと思われます。
 高齢になり複数の疾患を併せ持つ方が増えてくる中、認知症、癌の終末期の方も多くなってきています。基幹病院での急性期治療を終えた後の回復期・慢性期医療を引き受ける当院として、一般病棟のほかに、早期に在宅復帰困難な医療ニーズの高い方のために、介護療養型病棟を運営してきましたが、国の方針でこの制度は2023年度末までとなり、その代替施設として、新たに制度化された「介護医療院」へ、2018年5月転換いたしました。一般病棟では、できるだけ早期に在宅復帰を目指した医療を提供、介護医療院では、生活の視点をとり入れた医療・介護・看取りのサービスを提供し、地域の皆様に安心していただけるよう、職員一同日々自己研鑽につとめています。
ここ数年、様々な疾患による終末期医療についてご家族に確認する場合が多々あります。場合によっては、頼れる家族も認知症であり、行政との連携も必要となります。一方で、高齢であっても過去の生活歴によって、回復力はひと様々であり、年齢のみで治療による回復率の予想はできません。「人生100年時代」といわれるように、できるだけ元気な在宅生活が送られるよう、「時々入院、ほぼ在宅」の治療をめざし、患者さま一人ひとりに寄り添った医療が提供できるよう地域密着型病院の役割を果たしてまいります。