【実例④】脳血管障害〈3〉

脳梗塞後の自宅療養中に下肢を骨折。
入院リハビリに夫が積極参加するなど、二人三脚の努力で在宅生活に復帰。

[基礎データ]病名:脳梗塞後遺症、下肢骨折 患者:70代 女性 Dさん

事前経過

 Dさんは以前、脳梗塞を患って左片麻痺となり、急性期病院で加療後、当院へリハビリ目的にて入院していました。少しの介助があれば日常生活動作が可能となる位まで回復したので退院し、デイサービスを利用しながらの在宅生活へ移行。夫の介助で何とか日常生活を送っていましたが、ある日、食堂の椅子から立ち上がる時、夫が側を離れていたため、ふらつき転倒して左大腿骨頚部内側骨折を受傷。
急性期病院整形外科へ入院・手術を受け、手術後、再びリハビリ目的で当院へ転院されてきました。

当院での治療

 せっかく順調に在宅生活を送れていたのに、一から入院リハビリをすることになった再入院当初は、本人、夫とも精神的に落ち込み、在宅復帰に向けての不安をつのらせていました。
 そうした不安とはうらはらに、Dさんの身体能力の回復は期待できる状態であったことから、担当理学療法士がリハビリを行う際、今度は夫にも参加していただくこととし、少しずつ家庭介護に対する自信を取り戻していけるよう計画。在宅療養は二人三脚、介護される側はもちろん、介護する側の夫の自信回復のリハビリも不可欠のものだからです。
 退院後の生活を想定した入院リハビリに夫も参加することにより、妻の身体能力の弱点を夫がより深く理解できるようになるとともに、介護の仕方についても自信が持てるようになっていきました。夫婦の二人三脚の努力が在宅療養への道を再び開いたと言っても良いでしょう。

在宅療養へ

 リハビリの進行状況に応じて、リハビリスタッフや看護師、ケアマネジャーが係わり、退院前のご自宅訪問を行いました。病院ではうまく移動できていても、自宅では不安定になるケースも見られましたが、その都度、移動方法を検討。退院前訪問を繰り返し行うことで、一つ一つ、不安点を解消していきました。
 そして、Dさん自身の身体能力も骨折以前の状態まで回復し、めでたく退院へ。その後、デイサービスを利用しながら、夫婦水入らずの在宅生活を送られています。

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